丸いフォルムに愛らしい顔。イルカってとっても可愛いですよね。
でもイルカってどんな体をしているの?何を食べているの?
気になる項目を選んでイルカについて勉強しよう!
どの種も水中生活に適した「紡錘(ぼうすい)型」をしています。必要以外普段はゆっくりと泳いでいます。
一般的にヒゲクジラは雌の方が大きく、ハクジラは雄の方が大きく成長する事がしられています。
しかし、生息する地域によっても大きさに差があると言われています。冷たい海に生息するものの方が、深くまで潜水するのに適すように、体や血液中の脂肪の割合が比較的高くなっており、暖かい海に生息するものよりも大きくなる傾向があります。
黒・灰・白を基本色とし、ほとんどが腹側に何かしらの模様を持っています。
彼らは全身灰色をしていますが、よく見ると体の上側の方が色が濃く、下側は明るく白に近い色になっています。
ベルーガも白いとはえ、幼少期は体色がグレー(バンドウイルカより薄いグレー)です。
マイルカと同亜種のハセイルカなどは横っ腹に黄色ないし燈色(ひいろ)を帯びています。
これは魚などと同じような色合いで、上からは海の色に、下からは水面の太陽の光にまぎれることができ、天敵や獲物に見つかりにくくなるカムフラージュ効果があります。
鯨類の目の周囲の筋肉は人間よりも発達しており、見たい方向に対し、眼球と周囲の組織もろとも動かす事ができます。また、高い水圧に耐えたられる構造になっています。
どの種も瞼を持ち、目を保護する為に透明な粘膜をまとっています。これは陸上の哺乳類で云う「涙」にあたる機能を持ち目を保護する役目を果たし、健康状態、水質により分泌の量も増減します。
レンズは球形で光をよく集めるため水中でも視力がよく働きます。
視細胞には、感度が高く光をよく集めるが色覚には関与しない「桿体(かんたい)」と、光を集めるのには鈍感ですが色に対しては敏感に反応する「錐体(すいたい)」の2種類があります。
イルカの目は圧倒的に桿体が多いため、暗い場所でよく見えるようになっています。
視神経が集中し、その部分の像が鮮明に見える方向を「視軸」といいます。
その生物の目の位置や向きによっても変わりますが、人間の場合眼底に神経があり、目が正面を向いているため、真正面が一番物がよく見えるようになっています。
イルカの場合は、眼底から前方と後方に60度ずれた2ヶ所の位置に視神経が集中しているため、前方と後方の2ヶ所に視軸があります。
ですから、イルカと一緒に泳ぐときは、真横にいてもイルカからはちゃんと見えていないのかもしれませんね。
イルカの視力は、水中で0.11、空気中で0.083です。人間なら眼鏡やコンタクトが必要な視力です。
水中では近距離視力(1m以下)、空気中では遠距離視力(2.5m以上)が優れているといわれています。
屋外の明るい光のもとでは、2.5mの距離では空中視力は水中視力とほぼ同じ。
水中では遠距離視界が良くないイルカには、もう一つの目、即ち超音波による眼があります。訓練されたイルカは直径7.6cmの金属球を100m先から探知でき、更に物体の動きや方向などについてもかなりの精度で把握できることがわかっているそうです。
捕食する物により形状には様々です。
獣食する種は上下に大きな歯を持ち、吻は短く顎も大きくなっています。(シャチ等)
魚を捕食する種は細かい歯を上下に多く持ち、吻は長くなっています。(バンドウイルカ等)
イカを主食にしているハクジラは細かい下顎にのみ歯を持ち、その顎は細くなる傾向にあります。
バンドウイルカたちは、口の先端から奥まで等間隔で並ぶ、たくさんの白くて小さく鋭い歯を持っています。イルカの歯は人間と違い、一生涯生え替わることなく、成長し続けます。若いときは鋭い歯も、年を取るとともに丸みを帯びています。
また、イルカの歯を縦に切ってみると断面には年輪のような明暗の縞模様があります。縞模様は1年に1組出来るので、この縞の数から年齢を推定することが出来ます。
ちなみに種類や固体によって歯の数には大きな違いがあります。
カマイルカ:上下合わせて約120本
バンドウイルカ:上下合わせて約80本
オキゴンドウ:上下合わせて約40本
ハナゴンドウ:下アゴの先端に4~14本
基本となる歯の数44本を境に、採食する物の形状により数が増減している傾向にあります。
イルカの鼻は、水中での生活に適応するため、頭の上部に移動していきました。
この鼻(噴気孔)はひとつだけですが、気道はちゃんと2本通っており、ほとんどが半月型の蓋を持っています。
イルカは私たちと同じ肺呼吸のため、空気を直接吸わなければなりません。
噴気孔のまわりにはほんの少しですが、海水が溜まる溝があり、呼吸の際に流れ込んだ海水が噴気で飛びます。その水面上に出て水しぶきをあげているのが、イルカの呼吸なのです。
また、その水しぶきは白く見えることがほとんどですが、あれは噴気が暖かな濃い水蒸気で、外気にふれて冷やされるからです。だから、寒いときほど、真っ白に見えるんです。
ちなみにハクジラの噴気孔は一つですが、ヒゲクジラの噴気孔は二つあります。
ハクジラの中でもマッコウクジラは独特で、S字型の噴気孔が左前頭部に一つあります。
種類や個体差もありますが、呼吸の周期はおよそ40秒です。
潜水時間は小型のイルカで平均3~4分ほど。バンドウイルカは潜水時間が比較的長く、15分は潜水可能ではないかと言われています。
通常、人間の一回の呼吸で交換する空気は、肺の全容量の10~15%なのに対し、イルカは80~90%も交換することができます。
イルカは血液の量が多く、筋肉の中に酸素を蓄える役割をする物質が多く含まれています。さらに、身体には血液の流れを調節して、酸素の消費を抑える機能もあるため、長時間の潜水が可能になるのです。
イルカの耳は水の抵抗を減らし、体表の凹凸を少なくするため外耳はなく、皮膚に空いた小さな穴になっています。
目の少し後ろにあるわずかなくぼみが外耳の痕跡です。
しかし、この穴は閉鎖しており、耳からは音を集めることが出来ません。
イルカの耳は退化しており、水中では超音波を出して、その反射音から物との距離を確認しています。
イルカ(小型鯨類)の耳骨は歯に並んで硬い骨のため、死後これが脱落して化石になるのだそうです。波にもまれて丸くなったその形が布袋様に似ている事から「布袋石」とも言われています。
全国の浜辺で見つかりますが、よく見つかる場所と、なかなか見つからない場所があります。また、完全な形で見つかることはめったにありません。希少価値が高く、昔から幸運のお守りとされてきました。
現代では「岸までたどり着く」ということで、サーファーの間でお守りになっています。
他のほ乳頬のような毛はありません。触ってみると水の抵抗を減らすため絹のようになめらかで、魚のようにぬるぬるとはしていません。見ためには硬そうですが実際にはゴムのような手触りで非常に弾力があります。
この弾力は表皮、真皮、胎皮の3層構造からうみだされます。
特に真皮は水分が多く、渦巻流を吸収し調整する役割をはたしています。
渦巻流とは、物が水中を進むときに周りにできる進行を妨げる流れのことで、身体の傷などの凹凸で発生してしまうものです。
イルカは水分が多く含まれている真皮で皮膚を変形させて、渦巻流を押さえているのです。
すべすべな皮膚を持つイルカですが、生まれたての頃は吻(口の特に上顎)に10本ほどヒゲが生えているそうです。
生まれて数日で抜け落ちてしまうそうですが、大人になってもヒゲが生えていた跡は残っています。
イルカを近くで見るときには是非探して見て下さい!
イルカのひれには胸びれ、背びれ、尾びれがあります。
外見は魚のようですが、人間に近い動物である証拠の一つに、胸びれの中には人間の手と同じ5本の指の骨があります。
この胸びれは主に方向転換や同種間でのスキンシップに使われています。
背びれは左右のバランスを取るのに使われ、中にはスナメリのように背びれを持たないイルカもいますが、運動能力が高く、泳ぐスピードの早いイルカほど背びれが発達しているといわれています。
背びれはとても硬いですが、骨はなく、その代わりに丈夫な繊維質がぎっしりつまっています。
尾びれは前に進むためのものです。
魚の尾びれは水面に対して縦向きについていますが、イルカの尾びれは横向きについており、上下に激しく動かす「ドルフィンキック」で泳ぎます。尾びれも背びれと同じように硬くて丈夫な繊維質でできています。
イルカの尾の骨は、カンガルーなどの力の有る尾を持っている生物によく見られる骨と同様の骨のため、力強いドルフィンキックができるようになっています。
尾ビレには他のヒレには見られない太い血管が通っており、水族館での血液検査はこの尾ビレの血管より採血をしています。又、この尾ビレでは「冷えた血液を含む静脈」と「暖かい血液の動脈」間での熱交換機能が備わっていて体温を調節していると考えられています。
イルカはどんなエサを食べるのでしょうか。
種類や生息地にもよりますが、野生ではアジやサバなどの魚から、イカ、タコ、エビ、カニなども食べます。
クジラやイルカが一日に食べる量は体重の1.5%~14%の間で、個体差が大きいと考えられています。
水族館では一日に与える量は体重の6~10%程度です。
バンドウイルカは一頭の体重が約250キロあるので、エサの量は15~25キロになります。
水分補給は餌から摂取するほか、脂肪を体内燃焼したときに生じる代謝水もあります。
海水から摂取する割合はわずかのため、意図的に摂取しているのではないと考えられています。大量に摂取した場合、脱水症状に陥るのは人間と同様です。
イルカはとても賢く、単独ではもちろん、群れで餌となる魚の狩りもします。
狩りには以下のような例があります。
・仲間同士で協力し、魚を挟み撃ちにする。
・超音波を使って砂の中の魚を探し出し、口先で砂を掘って捕まえる。
・超音波の衝撃波で魚をしびれさせる、または尻尾で魚を打ちのめして、気を失っているところを捕まえる。
・漁船の後を付いて行き、捨てられた魚やエビを食べる。
・一匹のイルカが円を描くように魚を集め、他のイルカが一気に集めた魚を川岸に打ち上げるように飛び込む。
イルカの中には道具を使って餌を取るものもいます。
・砂の中の餌を探す時に、口先にカイメンというスポンジ状の生き物をくっつけて、口先に傷がつかないように砂掘る。
これはメスのイルカしか行っておらず、母親が娘に教えることで代々伝えられているのではないかと言われています。
・巻貝の貝殻に魚を追い込み、海面まで持ち上げて水を抜きながら魚を口に落とす。
この狩りの方法は30年の間に10回ほどしか見られなかったのですが、最近では4ヶ月の間に7回も確認されたそうです。
このことから行動を共にするイルカの間で教えあって広まったのではないかと注目が集まっています。
他にも地元の漁師と協力をして魚を取ることもあるそうです。
網を張って待ち構えている漁師のところに沖合いからイルカが魚を追い込むのだそうです。
これにより、漁師は労せず多くの魚を捕まえることができ、イルカ達も魚たちにありつくことができるのです。
このような人間とイルカが共同で行う漁は昔から行われており、最も古いもので150年以上前の記録が残されているそうです。
野生のイルカの寿命を知るのは大変困難ですが、短いものだと10~15歳、長いと70歳と言われています。
アメリカで行われた追跡調査では野生での平均寿命は7.5歳、最長寿命は50歳以上です。
日本を含む先進国では人が若いうちに死亡することは少ないのですが、野生動物の場合は若い内に死亡する固体が多く、長生きする個体はわずかです。
したがって、野生動物の平均寿命と長生きする最長寿命の差は大きくなります。
また、バンドウイルカの雄は雌に比べてストレスも多く、雌よりも短命です。
クジラは一般的に天敵と呼ばれる存在が少ないため、長生きします。特に大きいほど長生きです。
体長が20mにもなるホッキョククジラはとても長生きで、150歳になるものから211歳と言われるものまでいます。